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第21回 慶應医学賞の歴史と坂口光洋先生

 慶應医学部の一大イベントといえば慶應医学賞が思い浮かぶ。KSAMでは、これまで慶應医学賞受賞者へのインタビューや懇親会の司会を行ってきた。すでに2022年度の受賞候補者募集が終わり、早くも今年度の受賞者発表に心が弾む。これまで8名ものノーベル賞受賞者を輩出してきた慶應医学賞の歴史を見ると、第1回は1996年に遡る。第1回の選考では世界18カ国に1,300通余りの推薦依頼状が発送され、117名の研究者が推薦されたという。4次に及ぶ厳正な審査が行われ、最終的にはStanley B. Prusiner教授と中西重忠教授が全員一致で選定された。Stanley B. Prusiner教授はプリオン病の研究で活躍し、 後にノーベル生理学・医学賞を単独受賞されている。中西重忠教授は神経ペプチド生成機構や受容体遺伝子の解明といった功績で、後に文化勲章を受章した。生命科学に新しい風を送り込むような、さらなる発展が期待される科学者を選出基準としており、慶應医学賞の先見の明がうかがえる。

 1996年以降は毎年受賞者が選出され、計26回の顕彰が行われてきた。伝統ある慶應医学賞の授与を行ってきたのが坂口光洋記念慶應義塾医学振興基金である。この基金は、慶應医学部の卒業生でいらっしゃる故坂口光洋先生の寄付により創設された。坂口光洋先生は1940年に医学部を卒業後、故加藤元一教授の下で生理学を学び、その後内科学教室・解剖学教室に勤務された。1948年から日本大学医学部教授を務めた後に開業され、研究・教育・臨床全てに従事された先生である。坂口光洋先生は「義塾における医学および生命科学研究の奨励と創造的発展に貢献するとともに、世界の医学の発展に寄与する」ことに思いを込めて、総額70億円を寄付された。こうして設立された医学振興基金は、慶應医学賞の授与、医学国際交流、医学研究奨励、医学研究助成の4つを事業の中心として活動を開始した。さらに、2002年には坂口光洋記念講座を設立し、これまで再生医学、システム医学、オルガノイド医学等と最先端の医学研究分野の確立を大きく推進している。

 坂口光洋先生の熱い想いから始まった慶應義塾医学振興基金は、慶應医学賞、研究助成、記念講座の開設といったさまざまな形で医学・生命科学の研究を支えている。慶應医学部にとどまらず国内外の研究を推進する活動には、まさに世界の医学・生命科学の発展に寄与するという想いが体現されている。

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