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第8回 殿町タウンキャンパス

Updated: May 4, 2021

 羽田空港の多摩川対岸にそのキャンパスは位置している。2016年4月に川崎市の殿町国際戦略拠点キングスカイフロント内にある川崎生命科学・環境研究センター内に開設 された殿町タウンキャンパスをご存じの方はあまり多くはないのではないだろうか。義塾の殿町キャンパスでは、キングスカイフロントという国家戦略特区内に集積する大学、企業、および自治体との連携・協力によるイノベーションの創出を目指し、臨床・創薬・研究を中心とした研究などが推進されている。民間企業ではJohnson&Johnson, 英国Medtronic などの世界的大企業がアジア戦略の一環としてこの殿町に拠点を置いているほか、川崎市産業振興財団のナノ医療イノベーションセンター(iCONM)、神奈川県のライフイノベーションセンター、国立研究機関である国立医薬品食品衛生研究所 などが立地しており、まさにグローバルな産学官民一体の研究拠点として期待されている行政地区である。

 国際競争力の高まるこの殿町の地に誕生した殿町タウンキャンパスでは、地域の健康データ、介護データから臨床の医療情報といったビッグデータを活用したプロジェクト、再生医療等製品の品質・安全性評価プロジェクト、力触覚、サイバニクスと医療、再生医療を結びつけるロボット・医療機器プロジェクト等が、慶応義塾を中心に多くの研究機関、企業等との連携により進行している。医学部からは、中村雅也整形外科学教授、宮田裕章医療政策・管理学教授、谷川原祐介臨床薬剤学教授、新井康通百寿総合研究センター専任講師、岸本泰士郎精神・神経科学専任講師らがプロジェクトの中核として活動しており、この新たな国際拠点から世界にインパクトを与えるイノベーションを創出すべく日々研究に励んでいる。

 さらに、グローバルではなく、“グローカル”な取り組みも試みられている。殿町が位置する川崎市と義塾が連携し、同市の高齢者の健康寿命延伸のため、コホート研究も2017年から2019年まで行われていた。結果は現在解析中であるが、地域市民への解析結果の還元の一環として「ウェルビーイング百寿・シンポジウム」が毎年開催されている。2020年は新型コロナウイルスの影響により中止となったが、2019年は骨粗鬆症・ロコモ対策といった医学的なレクチャーからプラス・テン体操といった厚労省が推奨している身体活動促進プロジェクトなどの紹介が参加者一体型として行われたようである。殿町周辺のローカルなウェルビーイング―従来の身体的な健康だけではなく、身体的・精神的・社会的にも良好であること―が、テクノロジーやイノベーションといった最新のトレンドと融合することで、グローバルなウェルビーイング実現の第一歩となるのかもしれない。

コロナ禍によりグローバル化の意義が問われる時代へと突入したが、義塾発の研究により、世界中の方々がウェルビーイングとなれるよう願ってやまない。




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