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第5回 ヤウロードと通用門

Updated: May 4, 2021

 皆さんは医学部生なら誰もが行ったことのある飲食店といえば何処を思い浮かべるだろうか。私は「メーヤウ」を推したい。辛さを三段階に渡って選べるカレーや、カオマンガイ、バジルライスと汁そばの小小セットなどなど。そこは昼休みには空腹な医学生が群れをなして向かう紛うことなき人気店である。

 さて、キャンパスからそのヤウへ向かう道で必ず潜る通用門の名前を皆さんはご存知だろうか。門というにはいささか細やかではあるが、反して重要な役割を担っている肝門である。つまりこの門はキャンパス北東方向校外へと導く唯一の出入り口であり謂わば信濃町キャンパスのスエズ運河と言っても過言ではない程に医学生の空腹事情にとっては有り難い正に噴門なのである。したがって今回はこの門に関するトリビアを紹介させて頂こうと考える。


 新教育研究棟一階。入ってすぐ右側に銅像として居しておられる加藤元一先生は、「不減衰伝導学説」の発見者であり、三度のノーベル賞候補になられた我が校の偉大なる名誉教授でいらっしゃる。その加藤先生がご存命の頃、先生の研究室は現在のJKiC棟の位置にあった。そして先生のご自宅から研究室へのアクセスだが、当時はまだ北東方向の出入口がない為に、大そうご不便な毎日を送られていたそうである。先生はご自宅を出られてから外苑東通りをぐるりと廻り道なさって研究室に向かわれており、「嗚呼、この時間が惜しい…」と日々思われていたそうである。そんなある日、先生の願いをどうにか叶えようと設立開通されたのがその門、通称「元一門」なのだ。

 あないみじ。気もそぞろにメーヤウへ向かう起点となる場所に、こんなにも偉大な大先輩のトリビアが隠されていたとは。これを知るまで私は何の畏怖も感謝の念もなく幾度もこの門を潜っていたのである。


 移りゆく学生や時代を見続けてきた元一門。ひと時は人影さえも途絶えたこの半年をさてどのように眺めていたのであろうか。



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