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第17回 JKiC棟

Updated: Dec 28, 2021

 「JSR・慶應義塾大学 医学化学イノベーションセンター」、通称JKiC。部室棟、新教育研究棟を通り過ぎた先、キャンパスの北西に位置するスタイリッシュな建物は、コロナ以前は学生の憩いの場所であった。かくいう私も、解剖実習中の昼休憩、部活までの暇つぶし、テスト期間など、多くの時間を過ごしていた。しかしこの建物、学生が普段利用していたのは1階のラウンジスペースのみで、階上になにがあるか知らない学生は多いのではないだろうか。本稿では謎多き近代建築、JKiCについてご紹介する。


 まず建設地について説明しよう。1956年から2001年まで、この地には基礎第1校舎が建っていた。以前の記事でご紹介した(第五回 『ヤウロードと通用門』) 、「不減衰伝導説」の発見者である名誉教授加藤元一先生が研究に勤しんでいらっしゃった場所である。第1校舎の解体後は、学生が昼夜を問わず部活動を行う運動場となり、「鳥かご」の愛称で親しまれた。しかし騒音問題で運動場の使用禁止を余儀なくされ、土地の使い道がなくなってしまったのだという。そのグラウンド跡地に2017年夏竣工したのがJKiCだ。

 JKiCは、高分子化学や分子集合体の技術で知られる化学素材メーカー、JSR株式会社の出資により建設された研究施設である。JはJSR、Kは慶應、iはイノベーション、Cはセンターをそれぞれ表し、JSRと本塾医学部の産・学・医における連携拠点となっている。医療分野以外のメーカーと医学部が医工連携した共同研究活動は世界でも珍しい。正に、世界に冠たる慶應義塾医学を牽引する建物だ。

 JKiCでは個別化医療や予防医療など現代の社会が目指す医療の形を実現すべく、研究と開発が行われている。具体的には、精密医療、幹細胞生物学・細胞医療、微生物叢、先端医療機器だ。開所以降、JKiCでの研究がベースとなった論文が7つ、国際ジャーナルに掲載されている。


 先進的な研究が行われているとはつゆ知らず、私たちは階下で学生らしく過ごしていた。現在はCOVID-19の蔓延に伴い利用は制限されているが、いつかはぜひ一度足を踏み入れてほしい。暖かい陽光が差す快適なソファー、美味しい濃茶、最先端の技術を紹介するディスプレイ...きっとやみつきになるだろう。




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慶應医学部の一大イベントといえば慶應医学賞が思い浮かぶ。KSAMでは、これまで慶應医学賞受賞者へのインタビューや懇親会の司会を行ってきた。すでに2022年度の受賞候補者募集が終わり、早くも今年度の受賞者発表に心が弾む。これまで8名ものノーベル賞受賞者を輩出してきた慶應医学賞の歴史を見ると、第1回は1996年に遡る。第1回の選考では世界18カ国に1,300通余りの推薦依頼状が発送され、117名の研究