コロナ禍で、リモート学習が主体である4年生の学習形態にも変化が生じつつある。『授業も試験もオンライン それでも学ぶ私たち』の記事では昨年度の4年生の授業・試験形態を伝えた。今回は現在の4年生の教育について紹介したい。
試験はオンラインではなく、キャンパスで実施されるようになった。密にならないよう生徒は2つの教室に分けられ、座席間隔を保った状態で受験している。本来ならば同級生と話せる嬉しい機会となるはずが、試験当日ゆえのどこか張り詰めた緊張感も漂う。しかし最近は嬉しいことに、試験以外にも一緒に過ごす機会が増えた。4年生の授業でも、精神医学科と皮膚科が1コマずつ対面授業となったのである。授業形態は、試験同様生徒は2つの教室に分かれ、座席間隔を空けて座る。一方先生はというと、1つの教室で教鞭をとり、他方の教室にはその様子が中継される。一見難しそうだが、専門の業者が音声・通信管理をしてくださっている。体調が悪い場合には、自宅から参加することもできる。録画もされるため、後日視聴し直して復習することも可能です。まさに従来の対面授業とオンライン授業の利点を掛け合わせた、画期的な授業形態である。
具体的な授業内容は、精神医学科の授業では軽度意識障害の評価に用いられる図を見てその解釈を考えた。また、多義図形やネッカーの立方体を見て実際に錯覚体験も行った。皮膚科の授業は、問題演習という形式で、ビデオ動画で各自学んだ知識を前提に国家試験問題に挑戦する、という総復習を兼ねたアウトプット型の授業であった。
これらはオンライン授業では不可能なのだろうか。リアルタイム授業ならばある程度の双方向性は実現できる。しかし、対面授業のように学生が同じ場を共有して学ぶことは、より主体的な授業への参加を促すことができる。そして実感を伴った授業内容は、印象に強く残り記憶に定着する。ソーシャルディスタンスを守りながらも学生同士で直接話ができること。授業後に先生に直接質問できること。改めて対面授業の代え難い魅力について考えさせられた。
慶應義塾大学では新型コロナウイルスワクチンの職域接種が始まり、希望者には接種が可能となった。刻々と変化する状況に合わせて、医学教育も変化し続けている。先の予測がつかない不安が常にあるものの、全てがオンラインであった昨年度とはまた違った学びができるのではないかと期待が高まっている。
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