Search
  • keiomedstudentambassador

第25回 医療界で活躍する女性

現在、日本の医学生のうち女性は3分の1を占めるが、全医師数のうち、女性医師の割合は依然として少なく、22.8%である。この数値は、世界各国と比較しても非常に少なく、ジェンダーギャップは日本の医療における大きな課題の1つである。


そこで、女性の社会進出を応援する有志の団体である“Keio Women in Business(KWIB)”は7月9日に「医療界で活躍する女性」をテーマに、日米の医師とともにカンファレンスを開き、医療界におけるジェンダー問題に関して討論をした。ご登壇いただいたのは、慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室専任講師の飯田美穂先生、コロンビア大学産婦人科医の常盤真琴先生、ノースウェスタン大学小児科医のAisha Ahmed先生とワシントン大学内科医Rakhee Bhayani先生である。


まずは日米共通のトピックとして、性別によるアンコンシャス・バイアスが取り上げられた。日本では、女性の活躍を阻害し得る性別役割意識が職場と家庭の両シーンにおいて存在する実態が、男女共同参加局による調査結果からも示されている。一方、ジェンダーギャップ指数が比較的上位の米国においても、無意識の思い込みにより、臨床現場や教育過程での意思決定の場で男性の意見が優先される場合があるようだ。これ以外にも、日米に共通した顕著な課題として、女性が増えている分野でも依然として助教や准教授以上の地位の大半を男性が占めていることが述べられた。男女間の報酬の差、昇格のしやすさの違い、管理職などの地位に就く男女の比率の差なども明確に数値やデータとして数々の論文で発表されている。


次に、とりわけ日本における課題として挙げられたのは、育児や家事の担い手が男女間で平等でない点だ。米国では住み込みで子供の世話や家事代行を行う文化が定着しているほか、シフト制を含む柔軟かつ多様な働き方の選択が可能であり、男女ともに育児をしながら働く社会的環境がより整備されていることがうかがえた。日本では女性に対する産休・育休制度は手厚いものの、育児や家事が女性に偏ることで、社会で活躍する機会の阻害要因となっている可能性が否定できない。女性活躍の推進には、パートナーを含む周囲の協力も不可欠である。さらには、多様性を認め合い、それを前提とした育成・支援・評価といった組織マネジメントの構築も重要と考えられる。


最後に、このようなアンコンシャス・バイアスやジェンダー間の不平等を解決するための解決策について話し合った。Bhayani先生はワシントン大学にて、“Forum for Women in Medicine”という団体を女性医師と結成し、リーダーシップを磨くための講習会や医療界における女性リーダーと話す機会などを設けている。この団体を通して、女性リーダーや医療現場で活躍する女性を育て上げているようだ。飯田先生は医学部の社会医学系科目の授業を通して、日本社会に存在するジェンダー問題に触れている。その一例として、乳幼児の健康課題を公衆衛生の立場から考える保育施設での実習は、ジェンダー問わず自らの性別役割意識への気づきや解消、将来のワークライフバランスについて考える機会としても役立っているそうだ。このように、潜在的バイアスやジェンダー間の不平等を解決するためには、学生の教育も鍵を担ってくると思われる。こうした授業や病院内、学校内の団体を通して、1人でも多くの人が男女間の不平等を指摘し、改革を提唱することが重要なのではないだろうか。


以上のことからもわかるように、ジェンダー問題は多くの改革が必要となり、すぐさま解決される問題ではない。しかし、今回、例にあげた団体のように、コミュニティをつくり、内部から徐々に変化を提唱することで、よりジェンダー平等な環境に近づくことを期待したい。(5年フリーマン里奈)


参考文献:「医師・歯科医師・薬剤師統計の結果」2020年

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/20/dl/R02_kekka-1.pdf:閲覧日8/18/2022






211 views0 comments

Recent Posts

See All

やはりここ数年の学生生活とコロナは切っても切り離せない。事実、ここ2年間の教えて!アンバサダーの記事で、コロナの文字が出てこない記事はほとんど無いし、私たちを取り巻く環境に大きな変化が起こっていることを痛感する。 多方面でコロナ「禍」という単語を耳にするが、禍はいつの時代でも起こりうる。慶應医学部の歴史は100年以上も前に遡るが、この長い歴史の中で多くの「禍」を経験し、そしてそれを乗り越えてきた歴